介護認定調査は何をするのか?

介護保険の認定調査は、要介護認定のために行われる調査です。

ご本人が無理をして出来ないことを出来ると言ってしまうと低い要介護度の判定が出てしまうので事前にご家族が調査内容を把握し、かつご本人の自尊心を尊重しながら調査に臨むことが大切です。

認定調査とは?

市区町村への要介護認定の申請後に行われるのが認定調査です。市区町村の職員や市区町村から委託された居宅介護支援事業所のケアマネなどの認定調査員が申請者の自宅(入院中の場合は病院)を訪問して行われます。無料で行われ、所要時間は1時間程度です。

認定調査では、介護が必要かどうか、必要であればどれくらい必要なのかをチェックします。つまり、要介護度を決定するうえでの重要な調査となるのです。

介護保険サービスでは、要介護度によって月々に利用できる限度額が異なってきます。この支給限度額を超えた分は、全額が自己負担となります。

さらに例えば、特別養護老人ホームは原則、要介護度3以上しか申し込めないなど、受けられるサービスが変わってくる場合もあります。

実際よりも低い要介護度にならないために、普段の様子をしっかり伝える必要があります。

<居宅サービスの1ヶ月あたりの利用限度額>

居宅サービスを利用する場合は、利用できるサービスの量(支給限度額)が要介護度別に定められています。
(1ヶ月あたりの限度額:下記表のとおり)

限度額の範囲内でサービスを利用した場合は、1割(一定以上所得者の場合は2割又は3割)の自己負担です。
限度額を超えてサービスを利用した場合は、超えた分が全額自己負担となります

要介護度によって異なる支給限度額

要介護度支給限度額
要支援15万320円
要支援210万5,310円
要介護116万7,650円
要介護219万7,050円
要介護327万480円
要介護430万9,380円
要介護536万2,170円

<施設サービス自己負担の1ヶ月あたりの目安>

個室や多床室〔相部屋〕など住環境の違いによって自己負担額が変わります。

※介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の1ヶ月の自己負担の目安

○要介護5の人が多床室を利用した場合

施設サービス費の1割 約25,200円(847単位×30日=25,410)
居住費 約25,650円(855円/日)
食費 約43,350円(1,445円/日)
日常生活費 約10,000円(施設により設定されます。)
合計 約104,200円

○要介護5の人がユニット型個室を利用した場合

施設サービス費の1割 約27,900円 (929単位×30日=27,870)
居住費 約60,180円(2,006円/日)
食費 約43,350円(1,445円/日)
日常生活費 約10,000円(施設により設定されます。)
合計約141,430円

認定調査で聞かれることとは

認定調査は、概況調査と基本調査に分かれています。

概況調査では、現在受けているサービスの状況や家族状況、居住環境などについて聞かれます。

基本調査は、認定調査票をもとに行われ、認定調査票は「基本調査」の部分と「特記事項」に分かれます。基本調査の調査項目は、①身体機能・起居動作、②生活機能、③認知機能、④精神・行動障害、⑤社会生活への適応、⑥特別な医療、⑦日常生活自立度からなる74項目で構成されています。

これらは厚生労働省の告示によって定められており、全国共通です。事前にどのようなことを聞かれるのか知り、普段の困りごとを伝えられる準備をしておきましょう。その際には、困っていることの実例を挙げて説明できるようにするとよいでしょう。

特記事項には、選択式の基本調査だけでは伝えられない選択の根拠や選択で迷ったこと、特殊な介護の手間などが記載されます。

認定調査票の基本調査項目(抜粋)

①身体機能・起居動作・麻痺があるか
・寝返りができるか
・起き上がることができるか
・片足立ちができるか
・視力や聴力に問題があるか など
②生活機能・食事を摂ることができるか
・排尿や排便ができるか
・歯磨きができるか
・外出頻度はどれくらいか など
③認知機能・生年月日や年齢を言うことができるか
・名前を言うことができるか
・今の季節を理解しているか
・自分がいる場所を理解しているか
・外出して戻れないことがあるか など
④精神・行動障害・物盗られ妄想がないか
・作り話をするか
・昼夜逆転になっていないか
・大声を出すことがあるか
・ひどい物忘れがあるか など
⑤社会生活への適応・薬の内服ができるか
・金銭管理ができるか
・集団への不適応があるか
・買い物ができるか など

親の自尊心を大切に伝えるポイントは?

1.調査の日は必ず家族が付き添う。

2.日常の様子をしっかりと調査する側に伝える。(ご本人の自尊心を大切にする為、ご本人の目の前でストレートな物言いは避ける。)

3.ご本人のいない所で伝える事など事前にメモをしておき、調査する側に手渡すなども良い。(外出して帰れなくなったなどのエピソードもメモして渡すと良いでしょう。)

4.普段の姿をそのまま伝える事が大切です。

まとめ

  介護が必要となって最も落ち込んでいるのはご本人かもしれません。また認知症が進んでも感情とかプライドはあり続けるのでご家族が前もって準備をし、介護認定調査の当日を迎えて頂きたいと願います。