親の介護が必要になったら何をしたら良いのか?
「親の介護」はある日突然かもしれない。いざというときに備えて慌てずに対応出来るように介護サービスを受けるまでの流れについてまとめました。ここで大切な事は、家族だけではとても難しい。専門家の力を借りながら介護を続けていく事がベストです。
そこで、どこで誰に相談し、どのような手順を踏めば良いのかをご紹介します。
①地域包括支援センターや、主治医などに相談
介護専門の団体「地域包括支援センター」や「居宅介護支援事業所」に相談しましょう。
上記の団体に所属するケアマネージャーが、ご本人やご家族の話を聞き、介護保険利用に関するアドバイス、各種申請の代行、ケアプランの作成などを行ってくれます。高齢者が安心・安全に生活するための支援を無料で行ってくれるので、気軽に相談してみましょう。
また、お近くの地域包括支援センターなどがわからない方は、市区町村役場の高齢者福祉課、介護保険課などに連絡して確認してみてください。
また、介護保険要介護認定の判定には、「主治医意見書」が必要なので、主治医にも事前に相談しておくとよいでしょう。
ただし、介護保険施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設)や介護付き老人ホームに入所する方は直接施設に相談し、施設所属のケアマネージャーに相談することも可能です。
②要介護認定を受ける
介護保険サービスを利用するには、どの程度の介護が必要なのか、専門家が判定する要介護認定を受ける必要があります。
【要介護認定の流れ】
STEP1 市区町村への申請
お住まいの市町村の窓口に、要介護認定の申請に必要な書類や注意事項などを聞いてみましょう。書類の提出先は同じく、各市町村の担当窓口です。
STEP2 要介護認定の訪問調査(認定調査)
認定調査員が実際に家庭を訪問して、どの程度の介護が必要か心身の状況を聞き取り調査します。訪問調査の際は必ず家族の同席が必要です。
主治医による意見書も必要です。心身の状況、病状などについて意見書を書いてもらいます。その主治医意見書と認定調査を基に、コンピューターが介護にかかると想定される時間(要介護認定等基準時間)を算出しレベル分けされます。
STEP3 要介護認定の審査
次に保健・医療・福祉の学識経験者により構成された介護認定審査会により、一次判定結果、主治医意見書に基づいて審査判定を行い審査されます。
STEP4 要介護認定
介護認定審査会の結果に基づき、以下いずれかの区分によって通知が届きます。
・非該当(自立)
・要支援 (1・2)
・要介護(1〜5)
「要支援1」「要支援2」は、介護保険の介護予防サービスを利用することができます。「要介護1~5」は、介護保険の介護サービス(在宅・施設)を利用することができます。
審査結果に不服がある場合は、不服申し立て(審査請求)や要介護認定変更申請をすることができます。
③要介護認定が下りたら利用するサービスを決定
介護サービスには、「居宅サービス」と「施設サービス」があり、認定がおりたらいずれかを利用します。
●居宅サービス
自宅、またはサービス付き高齢者向け住宅、高齢者向け賃貸住宅、有料老人ホームで受ける訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリ、通所介護などが居宅サービスです。
ご自宅以外で介護を受ける場合、ご本人の要介護の状況に応じて入居する場所を選択することになります。
●施設サービス
介護保険の適用となる特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設に入所して受けるサービスです。
※要支援1、要支援2の方は、施設サービスを利用することはできません
④ケアプランを作成してもらう
担当のケアマネージャーに、「どのような介護サービスを受けたいのか」を伝えましょう。ご本人やご家族の意向に基づき、適切なケアプランを作成してくれますので、具体的なサービス内容、利用回数などについて相談します。
ケアプランは、介護の専門職であるケアマネージャーが作成します。認定結果に基づき、要介護の場合は「ケアプラン」を、要支援の場合は「介護予防ケアプラン」を作成する必要があります。
居宅サービスの場合
自宅、サービス付き高齢者向け住宅、高齢者向け賃貸住宅、有料老人ホーム(住宅型・健康型)などで介護サービスを受ける場合、「要介護1」以上は居宅介護支援事業者と、「要支援1」「要支援2」は地域包括支援センターと契約します。
その後、所属するケアマネージャーが訪問してくれます。介護付き有料老人ホームに入所する場合は、施設所属のケアマネージャーが担当します。
施設サービスの場合
どの介護保険施設に入居するのかを決定し契約します。その施設に配属されているケアマネ―ジャーが、施設利用者のケアプランを作成します。
⑤介護サービス提供事業者と契約を結ぶ
作成されたケアプランのサービス内容を確認し、問題がなければ同意しサインします。
その後、ケアプランに記載された介護サービスを提供してくれる提供事業者を選び契約します。サービスごとに事業者が異なりますが、ケアマネージャーが調整し連絡を取ってくれるので安心です。
介護保険施設や介護付き有料老人ホームに入所する場合は、施設のスタッフから直接介護サービスを受けることができます。
まとめ
介護が始まったらご紹介した事業所などに早めに相談し、「サービスを受ける場所」の判断をすることが大切です。
介護度が高ければ特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)か介護付き有料老人ホームを、低ければ自宅かサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、高齢者向け賃貸住宅、もしくは住宅型有料老人ホームがその対象となります。
自宅以外を選択するなら、比較的リーズナブルですぐに入居しやすいのが「サ高住」や「高齢者向け賃貸住宅」。子どもが自宅近くのサ高住に親を呼び寄せて、生活をサポートすることも可能です。
また、これらのメリットは、束縛されない自由な生活を送りながら安全に暮らせること。介護が必要な場合も相談員が事業者の紹介などを行ってくれるので安心ですし、必要なサービスだけを契約すれば不自由なく暮らすことができます。
このように介護が始まった場合、さまざまな選択肢がありますが、介護が必要になる前から、ご本人とご家族で「理想の介護生活」について話し合っておくと、いざというときに慌てずにすむでしょう。
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